さくらめんとログ

見えない人

いい本を読みました。
中沢新一氏著『人類最古の哲学』
図書館で見つけて、参考にと読んでたんですが、面白かったです。

全体ももちろんですが、シンデレラの神話性を説明する上で例としてはさまれていた、
ミクマク・インディアンのシンデレラ物語「見えない人」がお話として普通に面白かったです。
内容は、いわゆる「シンデレラ」を皮肉ったパロディです。
ヨーロッパ系のシンデレラ物語を「言いたい事は解るがもっとやり方があったろう」と言う感じで再構成しています。

以下簡単な解説。
王子様のポジションは「見えない人」と呼ばれる狩りの達人です。
精霊の加護を受けているので彼は狩りを失敗しません。
村の娘にとっては憧れの男性であり、彼と結婚すれば幸せが約束されます。
彼と結婚する条件は「彼の姿を見る事」なのですが、もちろんそこら辺の娘にはその姿は見えません。
唯一姿が見えるのは、彼の妹だけです。
妹は娘達を、狩から帰ってきた兄に会わせ問います。
「あなたには私のお兄さんが見える?」
と。
娘達は「見える」と嘘を付き、妹の質問にあたかもその姿が見えているように答えますが、もちろん嘘だとすぐにばれてしまいます。

この村にシンデレラポジションの娘もいます。
「焼けた肌の少女」「ボロボロの肌の少女」と表されています。
3姉妹の末っ子で、姉、特に長女に虐められて、顔に炭を押し付けられてボロボロの肌をしている女の子です。
3姉妹の上の姉二人も「見えない人」に会いますが、やはり姿は見えません。
ボロボロの肌の少女はある日、お父さんのお下がりの靴を貰います。
これがいわゆる「ガラスの靴」の対比です。
ガラスの靴はシンデレラだけしか履けない特別な靴として登場しますが、ボロボロの肌の少女が履くのは何の変哲もない靴です。
しかもお父さんのお下がりなので、ぶかぶかでちゃんと履けません。
それを何とか水につけて小さくして履き、精一杯のおしゃれをして、「見えない人」に会いに行きます。
そのおしゃれも、木の皮を剥いで身につけたりといった「奇妙」「おばあさんのよう」な一見して綺麗とは言いがたい格好です。

そんな格好でやってきたボロボロの肌の少女を、「見えない人」の妹は温かく迎え入れます。
そしてもちろん、彼女には「見えない人」の姿が見えて、「見えない人」自身も、このボロボロの肌の少女をその外見で判断することなく迎えます。


シンデレラの王子様は「着飾った」シンデレラに恋をしていますが、
「見えない人」は少女の姿ではなく、「自分を見える」と言うことで判断しています。
彼に必要なのは普通の女性ではなく、彼と同じレベルの精神性を持った女性だったということです。
「見えない人」が見えるということは、崇高な魂を持っているということです。
彼は精霊の加護を受けていて、彼自身も崇高な魂を持った人物です。
そして妹も、兄の姿が見え、来訪者を見た目で判断するなど愚かな事はしていない崇高な魂を持った人物です。
シンデレラの中では重要だった「見栄え」「外見」そう言ったものが否定的に解釈されて、内面を重視しています。
その筆頭はやはり、王子様ポジションである人物の姿が「見えない」と言うこと、
シンデレラポジションの少女が会いに行くときもボロボロの肌のままで、綺麗に着飾っていないということです。

皮肉たっぷりな内容でありながら、お話としても面白い…。
いいですね、こういうの。
例示された物語でこうまで考えさせられるとは…。
前後の文を読めば、もっと面白くなるので、興味があったら是非。
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  1. 2011/03/03(木) 19:58:26|
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